創刊者  上野 久雄

 創刊までの経緯
1975年 YBSラジオ「モーニングサロン」のパーソナリティを始めた上野久雄が
1     「短歌を作りましょう」というコーナーを作り聴取者から短歌投稿を受ける。
1980年 投稿者を中心に「YBS放送短歌会」がはじまる。
1982年 番組終了となるが、YBS放送短歌会会員の作品発表の場として歌誌発行の
1      希求が高まり、かつての「甲府未来」の仲間からの後押しもあり「みぎわ」
1      創刊となった。

創刊~現在
1987年 11月号創刊(奇数月発行)
1997年 6月号より毎月発行となる
2008年 9月上野久雄逝去により髙安勇が代表となる
2014年 10月 河野小百合が代表となる

[代表交代の弁]

未来の「みぎわ」のために
髙安 勇   ー「みぎわ」2014年10月号巻頭言よりー

 私が上野久雄の死後「みぎわ」の代表を引受けてから、今月号で丁度六年になる。上野もすぐ死ぬとは思っていなかったから、自分が近く入院する。そうすればすぐには戻れないだろう。五年後には創刊三十周年があるのでそれまで是非君に頑張って続けてほしい。それから後継者を決めてくれれば良い。困った時は病院からアドバイスする。そんな話だったが、引受けて一週間後に倒れて意識不明のまま、半月後には彼はあの世へ旅立ってしまった。
それから六年、私なりの年月を重ねたつもりでいる。三十周年が済んで、さて後継者をという訳ではなく、二年くらい前から河野小百合を口説いていた。結局、引受けるまで三年も掛かってしまった。彼女も歌人としての実績は十分なのだが、結社の代表は経営的な要素も含むので、世間知らずのお嬢さんを卒業するために、いろいろ準備期間が必要だった。
代表交代は、もう一つ、結社の若返りを図りたいという意味もあったので、関連人事にも多少変動を加えた。
選者は松野広美を抜擢して、中沢玉恵には私と同じ顧問になり、河野体制のバックボーンとして全体を支えてもらう。さらに将来のために斉藤真伸を副代表とした。これで未来への布石は一応整ったが、まだ形式の域は出ていない。全ての役割に各自が積極的な動きと自覚をもたなければ、強い結社に成長することは難しいだろう。
上野久雄から委託を受けた「みぎわ」の今後は、そうした志向を全会員が真に理解し、一致してはじめて前進する。どうか、日々を努力と反省の中で明日へ向かって欲しい。

代表交代に寄せて
河野小百合  ー「みぎわ」2014年11月号巻頭言よりー

 折に触れ髙安勇氏から代表を交代してほしいという申し出がなされていた。上野久雄主宰亡き後、その意志を継いだ「みぎわ」の運営は、髙安氏のリーダーシップと、沢井照江編集長を中心とする編集委員の団結、「みぎわ」を愛する会員の協力により、ほとんど退会する人もなく順調になされた。この状態が長く続くことを願っていたのだが、年齢的なことや健康上の理由から髙安氏の代表交代の意志は強いものであった。
私もまた自身の健康や介護の問題、生来の怠惰な性質から代表という重責を負うことには迷いがあり、返答を先延ばしにして来たのである。しかし、上野主宰亡きあと、この後の人生は「みぎわ」のために使おうと思ったあの時の気持ちを忘れてはいない。
昨年は三十周年記念という大きな節目を越えたことを、会員ひとりひとりが自覚していることだろう。先の理由で私は万全の体勢とはいえないが、成熟した会員諸氏の協力がグループの前進に繋がると信じている。
この三十一年間、「みぎわ」は山梨県の歌壇をリードしてきたという自負がある。それは上野主宰の「みぎわ」創刊の固い理念が反映されてきたからである。その主要部分だけを改めて書き出してみよう。
閉鎖性、排他的、権威主義など結社の持つ毒に侵されることなく、会員の個性を伸び伸びと育てて文学性を高める集団であること。また山梨県の歌壇にそれまで出来なかった、優れた新人を育て上げ歌壇に送り出すことが掲げられている。これらみぎわの創刊の志をこれからも引き継いでゆく。
さて、歌壇を取り巻く状況は、インターネットの普及や、少子高齢化時代を迎えたこと等により大きく変化している。会員の高齢化問題は、このグループでも厳しさが増している所である。「みぎわ」には各地に十七におよぶ支部やその他自主グループがある。これらの支部活動を活かして、高齢の会員の作家活動をサポートし、また活性化の道を探ってゆきたい。若い会員の育成については、昨年末発足させた「ムーサの会」を中心にして、さらなる勉強の充実を図っている。また、間もなくホームページが開設される。より多くの人に「みぎわ」の活動を知ってもらえるよう、発信をしてゆきたい。
今回の代表交代に伴い、編集部の若返りを図った。来年の七月号では三〇〇号を迎えるため、準備も刻々と進めている所である。
中国のことわざに「奇跡とは空を飛ぶことでなく、水の上を歩くことでもなく、大地の上を歩くこと」がある。組織を率いてゆくことは、作歌とは別の様々な困難を伴うだろう。そのひとつひとつをしなやかに受け止めてゆくことにしよう。創刊の志を忘れず、諦めることなく、このグループを率いてゆきたい。

みぎわ短歌会役員(2023.4.1~)
代       表  河野小百合
副 代 表  久保とし子
編 集 長  松野 広美
顧     問  中沢 玉恵
顧   問  沢井 照江
顧   問  伊藤加代子
運営委員長    米山 和明
運 営 補 佐  内山美智子
会計責任者    小野 美紀

選 者
二十選  河野小百合
松の巻  久保とし子
杉の巻  小野 美紀
笛の巻  青沼ひろ子
鉦の巻  松野 広美